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CTの基礎

CT画像はX線の影絵から

ここがポイント

CT画像は360度の「X線の影絵」から「再構成」によって作られる。

ボトム

 わかりやすいように、「X線」ではなくまずは「光の影絵」で説明します。懐中電灯を向こう側に置いて両手で作ったウサギの横から「光」をかざします。すると、手前側にはウサギの影絵が映し出されます(図1)。影絵からは「ウサギ」だとはわかりますが、このウサギがどのように手を組んで作られているかなど立体状態まではわかりません。

 この影絵の光をX線に置き換えると、フィルムや検出器に映し出される「デンタル」や「セファロ」などの「単純撮影」といえます。図2は真横から下顔面にX線を照射して検出器に映し出されるセファロ様の画像を示しますが、このような1枚の単純撮影だけでは下顔面の立体構造まではわかりません。

図1 手で作るウサギの影絵。手の組み方などの立体状況まではわからない。
図2 顔に真横からX線を照射した画像も、この1枚だけでは立体構造はわからない。

 そこで1枚のX線撮影ではなく、被写体を中心として「X線管球」ならびに「検出器」を360度回転させてあらゆる方向からのX線撮影を行い、それらの撮影データを元にコンピュータで立体構造まで見ようとしたのが「CT装置」です。歯科用CTでは、管球が被写体を1回転する間に600~1000回近いX線撮影を行います(医科用CTでは歯科用CTの約4倍ほど)。それらの「X線の影絵」をコンピュータに集めて、コンピュータの中で3次元画像を作る処理を行ってCT画像を作ります。この3次元画像を作るコンピュータ処理を「再構成」と呼んでいます。

 1917年オーストリアの数学者Radonは、「二次元または三次元の物体はいろいろな方向からの投影によって画像として再現される」ことを数学的に立証しました。これがCTの原理となります。しかし、当時はコンピュータのない時代であったためにCT装置は完成せず、その後1972年イギリスのEMI社(エミー社)に勤めるハンスフィールド博士によって医科用CT装置が開発されました。

 

図3 360度のあらゆる方向から下顔面をX線の撮影を行い、それらのデータを元にコンピュータ処理によって立体構造を作るのが「歯科用CT装置」。3次元画像をコンピュータ処理によって作ることを「再構成」という。
 
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