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CTの基礎

画質の方程式

ここがポイント

「画質」=「空間分解能」×「濃度分解能」 なので、両立が大事。

ボトム
画素(ピクセル)
図1:デジタル画像を拡大すると、赤枠で示される小さな画素(ピクセル)から作成されていることがわかる。

 最近、デジカメなどで「画素」という言葉を耳にします。画像を構成する1つ1つの小さな正方形をデジタルの世界では「画素(ピクセル, pixel)」といいます(図1)。平面ではなく立体で表現される場合は、この言葉は「ボクセル(voxel)」という言い方に変わります。

 さて、「CT画像を細かくみたい。」臨床医の誰もがそう考えることでしょう。そんな「細かさ」に影響する因子の1つが「空間分解能」です。図2-aは縦を32個、横を32個の画素(ピクセル)で表現した画像です。一目で「粗い画像である」とわかります。しかし、画素を細かくして512×512のピクセルで表現すれば見事にきれいな画像となります(図2-b)。

 一方、図2-cの画像をご覧ください。この画像も縦512×横512個の細かいピクセルから構成された空間分解能の高い画像です。しかし、誰もが「粗い画像だ」と感じることでしょう。実はこの画像は、白黒の濃淡を「4階調」でしか表現していません。すなわち空間分解能が優れた画像でも、濃度階調を256階調などで細かく表現しなければ綺麗な画像にはなりません。

 以上のように、画像の細さは「空間分解能」だけではなく、「濃度分解能」との両立が重要なのです。

 

画素数と階調
図2:画像の綺麗さを示す。a) 32×32個のピクセルで表現。 b) 512×512個のピクセルで表現。ピクセルが細かくなると明らかに綺麗に見える。 c) 同じく512×512個のピクセルで表現しているが、綺麗に見えない。これは白黒の濃度分解をたった4階調で表現しているためである。b)のように256階調で表現すれば綺麗に見える。
「画質」=「空間分解能」×「濃度分解能」×「時間分解能」

■画質の方程式:

臨床の良し悪しは「外科」×「エンド」×「ペリオ」×「補綴」×・・・といった掛け算で表現され、「中に1つでも0(ゼロ)があるといけない」といわれています。CTの「画質」についても同じで、十河は「画質」=「空間分解能」×「濃度分解能」×「時間分解能」の掛け算で成立すると考えています。

■医科用CT:

医科用CTにおける「空間分解能」は、今や0.5mm、0.625mmといった薄いスライス厚を示します。また、検出器の「濃度分解能」を示すダイナミックレンジでは2の18乗ほどの能力を持って硬組織から軟組織までを見ることができます。また「時間分解能」では、動く心臓でさえも管球を1回転0.35-0.5秒といった猛スピードで瞬撮できる時代となりました。十河はこのように医科用CTでは、「空間分解能」「濃度分解能」「時間分解能」の3つの要素から画質の良し悪しが決定すると考えています。

■歯科用CT:

一方歯科用CTでは、「空間分解能」は医科用CTよりも格段に細かく、ボクセルサイズは0.08mm~0.3mmと優れています。しかし、「濃度分解能」を示す検出器のダイナミックレンジは2の10~14乗ほどしかなく、その他「散乱線」の問題や、「線質硬化」、「はみ出し効果」などまだまだ再構成の補正を含めて問題があるようです。また「時間分解能」については、顎骨はしっかり咬合をさせると「心臓」や「肺」のように不随意的に動かないため、どの歯科用CTでも1周ほぼ20秒前後の撮影ができるので「時間分解能」はそれほど大きな問題ではないと十河は考えています。そのため、上段の「押さえどころ」では『「空間分解能」と「濃度分解能」の両立が大事』と述べました。しかし、体の動きによる障害陰影(モーションアーティファクト)や被曝の問題を考えると、歯科用CTでも速く撮影できることに越したことはありません。

 
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